MBA型マーケティング思考の落とし穴。

マーケティングというのは、商売を科学的に考えることです。科学的とはつまり、解析して理論を組み立て、それを適用して「正しい答え」を出すことです。つまり、極端に言えば同業同環境のマーケットにいる業者はみんな同じ答えで動いてしまうと言うことです。「差別化」しなければいけないのに同じ答えを土台にするから骨格の部分が似てきます。
ここにMBA型の限界があると言われています。

世界のトップ企業では、MBA型から脱却するためのアート思考、美意識の鍛錬が重視されています。アップルが「マーケットリサーチはしない」と言っているに代表されるようにGAFAの企業の活動が象徴的です。彼らは、美意識や才能ある人の思い込みなどを重視してマーケティングを展開しています。

こういったことは、企業の規模は関係ないと思います。むしろ、日本的思考からすると大きい企業ほどMBA型です。そこに現状の日本の大企業の弱さがあるのかも知れません。
日本ではよく、「事例はあるのか」と言われますが、事例があると言うことはもう他社がやって成功していると言うことです。そこに乗り込んでいくほどバカなことはありません。
他社と違う新しいことをしようと思えば、事例などないはずです。サントリーの創業者の有名な言葉として「やってみなはれ」がありますが、やってみてだめなところを調整していって自社独特の手法ができていくのです。昭和の創業者は、独創的だったのですね。

言葉の肥大化にご用心。

言葉がキイワードになると、どんどん解釈が肥大化して事態が良く分からなくなることがあります。

最近では、デザイン、ブランディングなどでしょうか。
しかし、世間で拡散されていくうちに拡大解釈され、ただ言葉を飾りのようにつけられているだけというような状況も多いのではないでしょうか。

○○デザイン、○○マーケティングなどと命名すると、素敵な何かがありそうなムードが漂い、企画書や会議の資料などに盛り込まれると、何か新しいことが生まれてきそうな気になります。
デザイン、ブランディング、ともに、定義が曖昧に成りがちな言葉です。どうにでも解釈できそうなことばです。つまり、後付け理屈にも使いやすい言葉です。

「そこでいう○○デザインとはどういう概念なのか」ということを小学生でも分かる言葉で説明しなさいと言われるとできるでしょうか。
使っている本人も実は良く分かっていないということもしばしば。

つまり、明快な解釈や定義がされない曖昧な状態でプロジェクトが進んでしまうことになります。当然途中で話がぶれてきて、良く分からない状況になっていきます。会議をしてもあちこちから違う見解がだされ、そのどれもが合っているようであっていないようでもあります。そもそもプロジェクトリーダーが良く分かっていなかったりします。そのような状況で、何かを進めて上手くいくはずがありません。

流行り言葉(バズワード)に振り回されないためには、最初にそこでいう○○○デザイン、○○マーケティングとは、つまりどういうことなのかということを分解できる限り細かく定義しておくことが重要です。

5%×5%=実行することの難しさ。

「こんな商売があったら、ヒットするんじゃないか?」的な話は、しばしば知人との会話の中で交わされたりします。

盛り上がって話を詰めていって「これ行けるんじゃない?」とかなり真剣になってきて、自分でも、これは良いかもしれないと思い始めます。

そしてふと「いや、しかし、こういうことは誰かが考えてやってるだろう」と冷静になってしまってその話は終わってしまったりします。

こうやって新事業を思いついた人の中で、実際にやってみる人は5%だと言われ、さらにその中で、苦難を乗り越えてやり続ける人は、また5%だと言われます。

つまり0.05×0.05=0.0025
事業を思いついた人の中でやり続ける人は0.25%しかいないのです。
10,000人の中で25人です。1,000人だと3人もいません。
その人達が成功を勝ち取るのかも知れません。

この話からは2つのことが分かります。

1つは、競争相手は多くないということ。
「きっと誰かがやっているだろう」と思いきや、意外とやっていないのです。だから、特別新しいアイデアでなくても成功する可能性は十分にあるということです。

2つ目は、実行してもやり続けることは難しいということ。
せっかく実行したのに、うまくいかなくなって途中であきらめてしまう人が95%もいると言うことです。
逆に言えば、そこを乗り越えられると成功するということ。
そのためには、まず情熱が必要です。そして試行錯誤調整してい行く柔軟さ、判断力。

世の中には、商売のアイデアが語られているはずですが、それを具現化する人は希であるということです。それをチャンスと捉えるか、無理なことと捉えるかは、その人次第ですね。

ネオ八方美人〜多機能、多能工の時代へ〜

アップルは、2019年6月4日の年次開発者会議「Worldwide Developers Conference」(WWDC)で、新mac OS「macOS Catalina」では、iTunesの機能を分割すると発表しました。

これにより、コンテンツ統合型のiTunesから音楽や映像、ポッドキャストなどそれぞれの分野専用のアプリを提供する形に変えて、本格的にコンテンツ事業を展開すると予測されています。

アップルの強みは、Mac、iPhoneなどのハードとそのソフトウエアそして、周辺のソフトウエアを自社で開発していることです。
ウインドウズやアンドロイドと違って、自社の中でハードとソフトの親和性を高められるし、何より、利害関係がありません。

ウインドウズやアンドロイドは、ハードの企業とソフトの企業の間にどうしても利害関係が生まれ、そこは埋めることはできません。
そのあたりに柔軟性や精度の限界があると思います。

かつては、専門性の高さ=専門企業、あるいは専門家という図式の価値眼が主流でしたが、変化してきています。

リフォームなどの分野でも多能工といって、壁や床、内装から水回りまでを1人の職人が行うことでコストを抑えスケジュールを短くし、成功しているケースがあります。

昔から八方美人という表現は、良い意味ではありませんが、今は八方美人の方がいろいろな物事の精度が高められるケースも多くあります。

その背景には、情報の入手が簡単になた事があるのではないでしょうか。
昔は、ひとつの専門分野の情報を得るには時間と手間がかかりました。しかし、いまはインターネットですぐに集められます。

専門性には、熟練で得られることと知識で得られることがありますが、その後者が容易になったと言うことです。ですから、専門性を高める期間が短いのです。

今やひとつの分野で勝負するならその分野のトップクラスにならなければ勝負できません。
また、いろいろな専門分野を持つことによってアップルのように新しいビジネスモデルを生み出すことができます。
ただし、アップルはそれぞれの分野でのトップでもありますが(笑)

事業のシンプルな原則を点検。

事業が複雑化してくると原則を忘れがちですが、
基本は、何かを欲しがっている(と思われる)人へ
欲しがっているものを適切な方法と価格で提供することです。

そして、販売していくためには、
お客さんを集めて、情報を伝達しながら、
よりお客さんが求めるものに近い商品を作ることです。

一般的には、この「お客さんを集める」ことが
一番の課題だったりします。

その次には、「何をどう欲しがっているか」を探し当てることです。
しかし、これは「お客さんを集める」ことができれば
聞いてみるということもできます。
そうすると商品や提供方法の精度を高めることができ
たくさん売れるはずです。

逆にすでにお客さんがいて求めるものも分かっているが
その商品を作ることが難しいという場合もあります。
それらの課題は、技術開発であったり、アイデアだったりしますが、
すでにお客さんをつかまえているのは強みです。

お客さんを集めるには、関心を引くような情報を
発信して何らかの接触が生まれるような仕組みを
つくらなければなりません。

それが広告だったり、HPだったり、DMだったりします。
そして、興味のあるお客さん(=見込み客)を選別し
もっと関心を持ってもらい欲しくなってもらうような情報を
提供しなくてはなりません。
それが、メルマガだったり、セミナーだったり、
イベントだったり、会員組織だったりします。

商品に関心のあるお客さんばかりが集まると
情報提供の活動も効率が良くなります。

より具体的で欲しい人の心を動かすような情報を提供すると
その中から買ってくれる人がでてきます。
それが、店頭だったり、DMやHP(通販)だったりします。

このような一連の流れの基本を常に頭に描きながら
事業を進めることが重要です。
ビジネスモデルが確立していない段階では、
さまざまな状況が訪れて調整を余儀なくされますが、
問題に対して近視眼になって基本を忘れてしまうと、
どんどんずれて行ってしまいます。

常に全体的なフレーム(枠組み)を描きながら
調整していくことが大事です。

あれこれ手を出す社長はダメ社長か?

「うちの社長は、いろいろなことに手を出して
失敗してばかりしているダメ社長だ」なんて
社員や奥さんに言われてしまう中小企業の社長。
これは、決してだめ社長ではないかもしれません。

社長の大事な役目のひとつが、新しい儲けの仕組みを作ること。
つまり新規事業の開発です。

新しい儲かる事業などそう簡単につくれるものではありません。
新しい儲かる事業を見つけるには、たくさんのトライ&エラーが必要です。
ユニクロの柳井さん曰く、10個やって1個成功したら良い方だそうです。

だから可能性のありそうなことはどんどん挑戦して、
だめと分かったらできるだけ早めに撤退する。
それの繰り返しの中で、儲かる事業が見つかるとうことですね。

それは、端から見れば「いろいろなことに手を出して失敗してばかりいる」と
映ってしまうかもしれません。

失敗を繰り返しても
100回目に大当たりしたら、会社はとたんに大きくなります。

シリコンバレーの投資家も500万円程度の投資なら10分で決めると言います。
そうやっていっぱい投資して、ほとんどダメになるけど、
その中で大当たりするものが出て回収できるのだそうです。

新しいことをやり続けるには、
貪欲な好奇心と忍耐や執念が必要です。
あれこれ挑戦し続ける社長は、実は素晴らしい方なのではないでしょうか。

ブックオフの革新性。

ブックオフ古本ビジネスでなぜ成功したか、
その本質は本の流通革命とも言えるものです。

ブックオフが扱うのは古書ではなく新しい本です。
古書ではない「中古本」です。

目利きがなければ扱えなかった「古書」ではなく、
「中古本」をアルバイトでも買い取りと値付けができるように
「ルール化した」事が画期的です。

そのルールには非常に細かい考慮があるようですが、
その結果、新刊書に近い本を
自由な価格で売ることができたという点が、
本の流通として革新的なところです。

本は再販制度に守られて
書店は自由な価格で売ることができません。

小売店が価格主導権を持っていないというのは、
現代では非常に珍しいし、時代遅れの
流通形態とも言えるのではないでしょうか。

面白そうな本もそうでない本もすべて定価販売です。
新刊本などで、もっと安ければちょっと読んでみたいと思う本も
定価なので買わないか、立ち読みで済ますかです。

それに対してブックオフは、売れない本は、
価格が下がっていきます。
だから前述のような本は、ブックオフに行くと買って読めるのです。
なんか、ねじれてますよね(^^)

本離れ、活字離れなどと言われますが、
実は、新刊書の流通が売る側の都合をお客さんに
押しつけているからなのではないでしょうか。

それに面白いのは、ブックオフに並んでいる本は、
すべてが一度売れた本であると言うことです。

新刊書店には、売れる本も売れない本も並んでいますが、
ブックオフに並んでいるのは、売れた本なのです。

ということは、売れ筋が並んでいると言うことです。

こうしてみるとブックオフのビジネスモデルは、
本の流通に関して多くの示唆を含んでいることが分かります。

チラシの意外な効用。

何かの販促を考えるとき、あるいは商品やサービスを考えたとき
一度それを一枚のチラシにしてみるのが良いです。

それによって、何が言いたいのか、何を伝えれば良いのか、
あるいは、商品特長は何なのか、商品価値はあるのかなど、
いろいろなことがチェックできて、
頭の中が整理されます。
その結果、課題なども見つかります。

そうやって何度かチラシをつくって見ることで
精度が上がっていきます。

逆ベクトルのマーケット。

世の中が便利になるほど人間は退化していくと思います。
それを本能的に防止するためなのかどうかは分かりませんが、
不便を楽しむ嗜好が強くなってきます。
人間は常に逆の物事への欲求が生まれてきます。

てづくりやユーズド感覚の流行も
精巧で美しい工業製品への反作用ではないでしょうか。

この先、コンピュータがどんどん進化して
人間の暮らしはもっと多くの部分が自動化されていくでしょう。

そうすると人間は暇になり、
不便なことを楽しむようになります。

それなら便利にしなくても良いのではないかと思いますが、
やはり便利で快適なことには弱いのです。

しかし、便利で快適だけでなく、反対のことを求めるのは、
人間の本能として自然な状態を求めるという事ではないでしょうか。

ですから、文明の逆ベクトルのマーケットとしては、
人間の本能を彫り込んでいくと見えてくるのではないでしょうか。

マズローの5段階欲求に照らし合わせて考えると、
初期の欲求を満たすために文明が生まれたと言えます。

「マズローの5段階欲求」
LEVEL-1 生理的欲求
LEVEL-2 安全の欲求
LEVEL-3 社会的欲求
LEVEL-4 自尊欲求
LEVEL-5 自己実現の欲求

LEVEL-5に近づくほど、文明では実現できなくなります。
消費成熟の社会は、マクロにはLEVEL-5の時代だと言われます。

絞り込むことの重要性-4〜徹底することの重要性〜

前回ユニクロの戦略のことを書きましたが、
絞り込んだとしてもそこに力を与えなければ
絞り込みの力を発揮できません。
選んだ槍を研ぎ澄ますと言うことです。

先のサバのお店も、ただサバ料理だけを出しているのではなく
サバに関するさまざまな情報やうんちくがあり、
卸もやってることからセミナーを開催したり、
極めて高い専門性があります。

物事にはある段階での効果の損益分岐点のようなものがあります。
ある段階までやらないと効果を発揮しないということです。

それは、中身の充実もありますし、
継続などによる量的なこともあります。

宣伝するにもある程度の量を出さないと
認知されないという事があります。
「チラシは4回目から認知される」という著名経営者もいます。

ファックスDMなどは、反応率が0.3%位だと言われます。
1000通送って3人です。
それからすると30人のお客さんの反応を得ようとすると
3万通が必要だということです。

ユニクロの場合は、商品と内容と広告と
どれもを他社とは比較にならないくらい徹底してやったおかげで
一気に認知され大量のお客さんを獲得したということです。
いまや、フリースだけでなくいろいろなアイテムで
ユニクロは認知されています。
しかしもちろん、当時は大変なリスクもあったはずです。