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事業主が自分で作るチラシの作り方

デザイナーでなくてもチラシはレイアウトできる。

ご自身でチラシを制作したい方へ向けたコンテンツです。ここで言うチラシはよくあるA4ペラのサイズものです。小規模事業所や新商品、新事業のスタートなど、事業主様や担当者がご自身でチラシを作りたいという場合も多々あると思います。デザイナーに外注すればキレイにできるけど、費用がかかる以外にも、なかなか思うようにつくってくれないとか、美しいけど反応がないなどの事が起こり「自分でつくることができれば」という思いが強くなります。しかし、いざ取りかかってみると、何をどう考えれば良いのか分からず、出来もイマイチで困っているという状況に陥ります。

チラシは、美しいデザインでなくても効果を上げることはできます。大事なのは美しいかどうかより、分かりやすいかどうかです。デザイナーの中には、分かりやすさより美しさを優先させてしまう方もおられるので、そう言う方にデザインをお願いすると、美しいけど反応がないというチラシになってしまいます。それは、デザイナーが悪いのではなく、依頼するときにポイントや話の組み立てをちゃんと伝えないからという場合がほとんどだと思います。

それは、依頼する方がチラシのことを理解していないから、ちゃんと伝えられないのです。ご自身でチラシを作れるようになると、デザイナーへの指示も違ってきます。強調するところ、話の流れなどをちゃんと伝えれば、分かりやすくしかも美しいチラシになるはずです。そう言う面でもご自身でチラシを作れるようになるというのは大きなメリットがあります。

構成(話の組み立て)、グリッドによるレイアウト手法さえ会得すれば、美しくなくても分かりやすいチラシが作れます。

ネットのサービスで、テンプレートを使って簡単にチラシができるサービスがあります。テンプレートが、うまくはまれば簡単にできると思います。しかし、往々にして、なかなか自分の事情にあったようには行かないものです。テンプレートに合わさなければならないので何かが犠牲になります。また、美しいチラシはできますが、心引かれないと言うことになりがちです。
ただ、チラシのレイアウトや構成の学習には良いと思います。何度か作っているウチに分かってくるかも知れません。

チラシとはどういうツールか

インターネットが発達してもチラシはなくならないと思います。人と人が取引をする上で一番シンプルで機能性が高いツールだからです。また、WEBのランディングページや商品紹介ページの構成にも基本的にはチラシが役に立ちます。チラシには、その商品のマーケティングが凝縮されています。だからチラシを作ることで、頭の中を整理したり、マーケティング上の問題点に気付いたりもします。

ここでは、専門家ではない人(例えば事業主の方や企業の担当者)がチラシを作るときに分かりやすい手順を紹介します。
デザイナーのように美しくできなくても、チラシは機能します。むしろ、美しさにこだわってマーケティングを無視した美しいデザインのチラシより、ちゃんと構成されたチラシの方が効果を発揮します。

チラシの基本

商品や業態、配付方法や状況によっては異なりますが、チラシの基本は、「興味を持たせて、アクションを起こさせる」ことです。
アクションというのは、問い合わせをする、購入するなどです。商品によってはチラシが直接購入に結びつくこともあれば、まずは問い合わせを募るという場合もあります。
いずれも大事なのは「興味を持たせる」ということです。これは広告販促全般に言えることですが、興味を持ってもらえなければ、話が始まらないのです。

ありがちな失敗例

1:興味づけがない。

ありがちな失敗例は、商品の紹介に留まっているものです。確かに商品の内容は分かるのですが、興味を持ってもらわないことには、紹介文も読んでくれません。販促の専門家でない方がつくるチラシは、このお客さんと商品を繋ぐ線が描けていないことが多いです。違う視点から言えば、興味を持たせるポイントがないということです。これは、表現によっても違ってきます。例えば、魚沼産のお米を使ったおいしいおかきを売るとして、ありがちなのが「魚沼産の高級米を使った格別のおかき」的なキャッチコピーです。一見キャッチコピーに見えますが、おそらくキャッチしないでしょう。これは商品の特徴を言っているに過ぎないからです。
言わなければいけないのは、お客さんのメリットです。このおかきはお客さんに何をもたらすか。つまり「おいしい」と言うことなのですが、漠然としています。もっと具体的な方がイメージが湧きます。例えば「昔、おばあちゃんの家でもらった懐かしい味」とすれば、イメージが湧きませんか? ドラマが浮かびます。聞いた人ごとにそんな思い出を思い出すかも知れません。おいしい思い出かも知れませんし、おかきではなく違うお菓子だったかも知れません。いずれにしても「おばあちゃん」「懐かしい味」という言葉で具体的なイメージが想起され憶えます。人間はイメージによって行動しますから、イメージが浮かぶとさらに「どんな味だろう」と思う人もいるでしょう。つまりお客さんにもたらされる具体的な情報を言ってあげることで、いろいろ考えてその商品を記憶したり興味が湧いたりするわけです。重要なのは、商品特徴を謳うのではなく、それによる顧客メリットを謳い、具体的なイメージを持ってもらうことなのです。

2:情報が多すぎる。

失敗例とは言いにくいですが、やたらと詳しくぎっしり書いてあるものです。言いたいことがたくさんあるので、情報を詰め込みがちですが、お客さんは聖徳太子ではありません。知らない商品について、あれもこれも語られたら、結局1つも残らないということになります。また、最後まで読んでいただけるかも疑問です。
商品についてすべてを説明する必要はありません。チラシのを見たアクションとして問い合わせてもらう、さらに詳しい資料を請求してもらうなど、次のステップを用意すれば良いだけです。
あるいは、チラシ1枚ですぐに購入しただけるのはよほどの商品です。

3:商品情報が少なすぎる。

前項の逆です。シンプルに作ったのは良いけれど、情報が足りなくて途中で興味が薄れてしまう場合。作る方は「とりあえず問い合わせてもらえば・・・」とか「ホームページをみてもらえば・・・」とか思いますが、お客さんにしてみれば、まだそこまで興味は沸かないという段階だったりします。この情報の量に関しては、一概に言えません。どこまで話せば興味を持ってもらえるかというのは、やってみないと分かりません。分かっているのは、興味を持ってもらえないと、問い合わせてもらえないし、買ってもらえないということです。

4:アクション情報を書いていない。

せっかく分かりやすく書いてあるのに、問い合わせ先や連絡方法が分かりにくいあるいは面倒、どこで買えるのか分からないなど、「どうすれば良いのか分からない」場合です。これも意外にあったりします。
連絡や購入方法が分かりにくく面倒な場合というのは、しばしば見かけます。人間は面倒なことが嫌いです。できるだけ楽をしたい。だから、せっかく興味を持っても、次のアクションが分かりにくかったり面倒だったりすると、よほど興味を持った場合以外は、心が折れて「もういいや」ってなってしまいます。

5:1度撒いて反応がないのでやめる。

「チラシを撒いたが反応はなかった。チラシではだめなのだ」と思いがちですが、チラシは配布して反応を見ながら作り替えて何度目かに反応が出てくるものです。あるカリスマ経営者は、「チラシは4回目からが本番」と言います。3回目までは調整期間、試し撒きだと。よくある失敗例-3と4にも書いたように情報量の加減や表現など、反応を見ながらやり替えていくしかありません。そうやっているうちに、感触が分かってきます。

道具(手段)

ほとんどの方がパソコンで作ると思いますのでそれを想定して話を進めます。しかし、本質的なことはアナログで紙で書いていっても同じです。ただ、作業の効率から言えば圧倒的にパソコンが便利だと思います。
使用するアプリは、プロのデザイナーが使うAdobe Illustratourを使うと理想的ですが、一般的にはハードルが高いです。Microsoft Officeを使うのが簡単かも知れませんが、その際は、パワーポイントをおすすめします。ワードやアクセルを使う方も多いですが、レイアウトのしやすさは、パワーポイントがダントツです。みなさんが苦労される一因にワードやExcelを使うからと言う事もあるような気がします。使ったことがないと言う方でも、基本的な操作は、ワードやエクセルと同じですので、すぐになれると思います。パワーポイントが使えるようになると何かと便利です。最近は、パワーポイントで作ったファイルからもネット印刷できるようですので、オフセット印刷も可能です。
ちなみに、ネット印刷はとても安くなっていますので、例え数十枚、数百枚でも、普通のプリンターで印刷するよりネット印刷に頼んだ方が、手間や仕上がりの美しさを加味したら合理的です。失敗したときのインクやプリント用紙代を考えるとネット印刷の方が安上がりになるかも知れません。

————以降制作中

チラシ作りのステップ

これはあくまで一例ですが、この順番によって作りやすさが違ってきます。このやり方が、頭の中を整理するにもレイアウトの作業的にも一番効率が良いと思います。これを土台にやりやすいようにアレンジいただけたらよいと思います。

1.話を整理する
2.構想を練る
3.タイトルを付ける
4.本文をつくる
5.レイアウトする
6.仕上げる

作業

1.話を整理する

まず、情報を下記の3つに整理しましょう。

●つかみ
●本文
●アクション

●つかみ

文字通り、読む人の心を掴む興味付けの情報です。
商品によって、あるいは同じ商品でも切り口や対象によって掴みポイントは違ってくることがあります。
まず何を言えば振り向いてくれるかです。最終的には、この情報にキャッチコピーをつけますので、キャッチコピーがつくような情報を抽出すると言うことです。
ありがちなのが、失敗例の1にも書いたキャッチコピーが商品紹介に留まっている場合です。読んだ人にその人の素敵な未来が想起できるような情報(切り口)を提示することが必要で、チラシ作りの中でここが一番重要で難しいところです。

●本文

本文に盛り込むべき情報は、「つかみ」で興味を持った人に「簡単に言うとこういう商品ですよ」と説明する部分です。簡潔で分かりやすいこと。「つかみ」で言ったことに納得を与える情報であることが必要です。

●アクション

ここは、購入方法や問い合わせ先などの情報です。ここもできるだけ分かりやすく、面倒に感じない内容であることが大切です。せっかく購入意向が生まれてもここが面倒に感じたら、「面倒だからやめておこう」と思われてしまいます。

2.全体の構想を練る

情報が整備されたら、全体の構想を練りましょう。その際にまずレイアウトのひな形を作っておくと考えやすいです。
何からどう考えれば良いか分かりにくいと思いますが、紙面を2分3分割割4分割したグリッドというものをつくると考えやすくなります。

片面で収めるのか、両面使うのかでも構成は違ってきます。
片面の場合、例えば、つかみで半分、本文でその残りの3分の1,残りでアクション。とか、つかみ、本文、アクションで3分の1ずつとか、商品や原稿、写真のあるなしでも違ってきます。

3.ひな形を作る

A4の紙面の上下左右の端から1cmの線を引きます。この中に原稿を配置していきます。
そして、その枠の中を横に2分割し、縦には①5分割、②6分割、③8分割の3つを作ります。
6分割は3分割2分割にも、8分割は4分割2分割にも使います。
要は、この①〜③の枠を組み合わせながらそこに要素を入れていくわけです。そうするとレイアウトしやすくなります。
実際には、隣り合った枠の間は5mmほど開けた方がよいです。
以上は1例ですので、ご自身でアレンジいただいても良いです。ポイントは「系統だって用意された枠にはめていく」ということです。これによって見やすくなります。

*パワーポイントなら
3つのページを用意し、そこに上記のひな形をつくります。そして新たなページにひな形の枠をコピペしながら、それをガイドにレイアウトし、最後に枠を削除するようにすると作業がしやすいと思います。

4.配置していく

配置する順番は、1.アクション、2.つかみ、3.本文の順に考えましょう。アクションが最初なのは最低限必要なことが決まっているので情報の量が確定しているからです。

1.アクションをとりあえず入れる

大抵の場合、アクション情報は一番最後ですから、とりあえず先にここを決めてしまいます。とりあえずなので、後で調整します。大抵の場合、5分割の1の枠で収まるのではないでしようか。入れるべき情報のテキストや画像を適当に入れておきます。整えるのは後回しです。

2.つかみをつくる

チラシに興味を持たせる重要な部分です。場所的には上3分の1,4分の1、あるいは2分の1に入れましょう。写真のあるなしやサイズによっても違ってきます。とにかく、興味付けは「ドカーン!」と大きく配置します。
この時に、キャッチコピーなども仮に考えましょう。仮で良いのです。仕上がりイメージを持つために「こんな感じのフレーズ」みたいなものでも良いです。

3.本文を入れる

残ったスペースに本文を入れます。こうすると、本文ばかりがダラダラと長いチラシになるのを防止することができます。
本文が一番大事なのではないかと思われがちですが、本文は長短編集できるので柔軟性があり、スペースに応じてなんとでもなるものです。

4.バランスを見る

全部を入れたら、全体で上からちゃんと話が分かりやすく流れているか、興味付けする部分は、機能するかなど、全体の内容を吟味し、量なども調整します。

5.カタチを整える

内容がほぼ決まったら、整えてきます。キャッチコピーは大きく。本文の見出しは、中ぐらい、アクション情報は分かりやすくまとめるなどですが、ここで重要なのは、系統立てて整理することです。キャッチコピー以外の見出しのサイズは3種類まで、フォントの種類も2種類くらいまで程度に整理します。
ありがちうなのが、個々に考えた末に、フォントやサイズなどがばらばらになり、どこから読んだら良いのか、何が重要なのかが良く分からないレイアウトです。
見出しのサイズやフォントを系統立てて揃えることで見やすくなり、話の流れも分かりやすくなります。
例え本文やキャプションでもあまり小さい文字は潰れてしまいます。最低のサイズは8ポイントくらいに抑えて置いた方がよいです。
プリンターで印刷するときに、インクジェットプリンターでは文字がにじんで潰れやすいので注意が必要です。

【備考】

・ひな形の枠(=各ブロック)間は、3〜5mm程度開けましょう。
・色も多くしないようにしましょう。
・縁くくり文字や装飾文字を多用するとごちゃごちゃしたイメージになりがちです。
・色ベタに白抜き文字は、見出しなどサイズの大きな文字だけにしましょう。
・文字のブロックを囲んだり、区切りを入れたり、罫線をうまく使うと見やすくなります。

*作ったチラシを改善したい方にはこちらを。