得意分野をもつデメリット。

得意分野を持っているというのは強みではありますが、反面既成観念に縛られがちだという面もあります。
得意分野という事は、その分野のノウハウを持ち、定石や間尺、常識などに長けていると言うことですが、反面、そこで何か新しいことを始めようとするとその経験的知見が発想を束縛します。どうしても「こういうものは、こうあるべきなのだ」という経験値が邪魔をします。色々な分野で、革新的な事業や商品を開発した企業が門外漢であったという例はたくさんあります。

象徴的な例は、アップルのiPhonかもしれません。携帯電話を作っている会社は世界にたくさんありましたが、携帯電話など作ったこともなかったアップルが、あっという間に市場を塗り替えてしまいました。それにより、そもそも得意分野であったはずの日本のメーカーは、次々と撤退を余儀なくされました。

日本のメーカーは「性能」に縛られていました。電子機器は「性能」こそが最優先だという既成観念です。アップルの視点はそこにはありませんでした。携帯電話は、どう使うと便利か、あるいは生活の中でどのような役割になるべきかという発想で、性能はそれを充足させるに足るものと考えたのです。

その前のiPodの時も同じでした。音楽プレーヤーなど作ったことのないアップルのiPodは、当初は、日本のメーカーは、「性能は我が社の方がずっと上だ」と胸を張っていました。しかし、そう言う問題ではなかったのです。アップルは、生活全体の中での音楽プレーヤーという位置づけを考えていました。そこでiTunesでの音楽配信というサービスとセットで展開したのです。そう言う発想をできるメーカーは他にありませんでした。

もちろん、得意分野で革新を続ける企業もあります。それは、企業が常にそういう既成観念に縛られないように意識しているからではないでしょうか。
得意分野というのはともすれば、発想を縛ります。常に「得意」を疑う姿勢が必要なのかも知れません。