主観的な話と客観的な話。

世の中には、主観的な話と客観的な話がまぜこぜに飛び交っています。
特に新型コロナ以降、デマや嘘か本当か分からない話など、何を信用して良いのか分からないと言った状況があります。

そういった中で最近、エビデンスという言葉がよく使われます。本来は医療学術用語だそうですが、今は要するに「根拠」という意味で使われています。「根拠」があるというと、一見客観的な話かと感じますが、その「根拠」が個人的な体験や見立てであると主観が介在してしまい、実は客観的ではない話だったりします。

客観的な「根拠」はやはり数字になると思います。しかし、その数字の立て方によっては、そこにまた主観が介在しているのでやっかいです。あるいは、良く考えると「根拠」にはなり得ないような数字を「根拠」として使っている場合があります。これはマスコミでもそういうことがあるので要注意です。

別の投稿でも書きましたが、数字には盲点があります。市場調査の年齢層比較には、一般的に年齢層ごとの人口比率が加味されていません。一般的に年齢層ごとの話では、人々はその人口比率のイメージがありません。年齢層ごとの結果の傾向を同列に比較しても、人口(市場)全体に占める割合が異なるので実際の傾向は違ってくるはずです。
高齢者が多いと言うことは誰もが認識していますが、そう言う比較では忘れていたりします。切り口や場面が変わると、その数字に関する別の情報を忘れてしまうことがあります。

あるいは、情報不足なのか認識不足なのか、はたまた意図的なのかは分かりませんが、前提条件の違う数字を比較することがあります。
一例を挙げると、新型コロナの初期段階で海外と日本での死亡者数が盛んに比較されていましたが、日本と海外では「死亡」の判定基準が違いますし、死生観も違うため治療に対する要求が違います。要するに条件や環境が異なる数字を比較しているワケで、これでは比較になりません。

また、感染者数も先月比較などが盛んに報じられていましたが、そもそもこの感染者数(=PCR検査の陽性者)ですが、PCR検査は一定の同一条件で行われているわけではありません。症状のある人や症状がないけれど仕事上受けている人など、要するに一定の条件で系統的に選ばれたサンプルではなく、任意の受検者なのです。数字を比較する場合、同一の条件でないと意味がありません。陽性者率というのならわかりますが、「数」は検査数が多いと増えて少ないと減るというのは当たり前の事です。こういった根拠にならない数字がなぜ報道されるのか不思議でなりません。ちなみにPCR検査の特性上、陽性者率を市場感染率というカタチで系統的な数字を得ることは物理的に不可能ですし、そもそもPCR検査の精度は60〜70%と言われていますので、さほどあてにならないとも言えます。

さらに、日本のPCR検査の場合、2021年の1月に検査の基準を45サイクルから30サイクル(=世界標準)に変えています。ですから、その前後では当然同じ人でも結果は異なるし、45サイクルを30サイクルに落とせば、陽性者数は減って当たり前なのです。ただ、そういうことはメディアでは報じられません。条件が異なる数字を並べて傾向を話したり比較したりするのは意味がないと思いますが、メディアでは当たり前のように行われています。

また、人間は(特に日本人は?)、ドラマに弱いところがあると思いますが、冷静で客観的な知見より、エネルギッシュで感情的な話に吸い寄せられます。数値による見知(=客観的情報)から日本の状況を「さざ波」だと言った政府関係者が叩かれ、現場で何百人もの診療している医師の体験談(=主観的情報)が重用されます。
もちろん、医師の話は体験談や実感として重要ですが、しかしそれはその医師の個人的な範囲の話でしかありません。全体の傾向としてどうかということではないわけです。

こういったことで、医師の話を主体に事を進めると間違った方向に行ってしまいます。医師の話は参考情報として留意すべきとは思いますが、まず客観的な話から検討すべきです。
こういうことが、社会では気がつかないうちにひんぱんに起こります。企業内でも同じではないでしょうか。
主観的な話に引っぱられていないか、今一度点検してみてはどうでしょうか。