ブランド性の法則。

「ブランド」という言葉(概念)が重視されて久しいですが、「ブランド性」の本質は商売そのものであり、新しいものでも何もありません。
いわゆる「老舗」と呼ばれるお店はブランド性があるが故に愛されてきたはずです。

最近の「ブランディング」は、そのブランド性を科学的に意図的に作り上げていこうとするような考え方ですが、ひとつ注意しないといけないのは「ブランド性」が目的になることです。
目的はあくまでお客様に広く長く愛されて購買を継続的に行っていただく、言い換えれば末永くお付き合い頂くことです。
それを目指すことで、ブランド性が自然にできあがるものです。
ブランド性とは、「信頼」ですから、時間がかかるものです。

ですので、最近の「ブランドディング」の中には、「話題性」や「注目性」をブランディングと呼ぶようなものもあるので留意が必要です。
「話題性」や「注目性」もブランド性をかたちづくるには必要なことかもしれませんが、あくまで一時的な現象です。

ブランド=信頼であるが故に、注意しないといけないのは、行動です。
コミュニケーションの鉄則として、良い面をアピールするより悪い面を出さない方が重要だと言うことです。

ただし、良い面悪い面のバランスには実際問題「程度」が大事です。
良い面をアピールするより悪い面を出さない方が重要だと言っても、競合他社より「圧倒的な優位性」がある場合には、その見せ方には注力すべきです。「圧倒的な優位性」は顧客への圧倒的なメリットにもつながりますから、仮に多少の悪い面があったとしても顧客はそのメリットを選ぶでしょう。
しかしこの「圧倒的」なものがある場合はレアケースであり極めて少数派、特殊な例だと思います。

これは芸能人を例に取ってみると分かります。「ブランド」はいわゆる「人気」と同じですので芸能人の当てはまります。
「圧倒的に」人気のある芸能人なら、スキャンダルが出ても、一時は評判が落ちるでしょうが、「圧倒的な人気」を支えている芸が落ちない限り、また人気は復活します。あるいは少々のスキャンダルでは人気は落ちません。しかし、「圧倒的」と言えるほどの芸や人気がない芸能人にスキャンダルが出ると一気に人気が落ち、二度と出てこれない場合すらあります。
このような「圧倒的」人気のある芸能人はひとつまみ程です。ありがちなのが、ちょっと人気が出ると自身が「圧倒的」なのだと勘違いした振る舞いをして、人気が落ちてしまう場合です。
これは、企業や商品でも同じ事が言えます。
多くの老舗として人気のあるお店や商品は、長い年月で顧客に愛され続け、お店側もそのような顧客に丁寧に応えてきた結果です。

これらブランドは、商売の最強の武器であるように、従来は考えられていましたが、近年は、少々違ってきています。
商品によっては、長年培ってきたブランドでも効き目が薄い場面があります。それはネット通販です。
例えばアマゾンでの商品レビューの影響力です。例えば電動ひげそりを買いたいと思って探す場合大手メーカーのブランド品と無名メーカーの製品では、ブランド力が勝つかと思えば、そうではありません。
良いレビューが並んでいる無名メーカーが勝つ場合が多発しているのです。買って使ってみた人の感想はブランド性より真実味があります。レビューの真偽性もありますが、読んでいけば分かる部分も大きいものです。
こういう分野では、いわゆるブランド性が功を奏さなくなっています。実際、そのような分野からは大手メーカーが撤退しているケースが多く見られます。
これは飲食店でも同じ事が言えるかも知れません。
できたばかりのそば屋さんでも、評判が良ければ老舗に勝てると思います。
ブランド性が有効だったのは、その商品やお店についての情報が手に入りにくかった時代です。インターネットによって、リアルな情報が簡単に手に入る現代では、ブランド性の効力がどんどん失われつつあると言えます。

ただし、ブランド性にはもうひとつの効果があります。
それは「ストーリー性」です。
それが生かせる分野では、ブランド性がまだまだ効果があります。