ジョブ型雇用は絵に描いた餅。

コロナ騒動でテレワークを強いられ、そこで世界との遅れを見せつけられ、仕事しない社員と日頃の生産性の悪さがあぶり出され、働き方改革をタテにジョブ型雇用のかけ声がかかっています。

しかし、少なくとも現状の日本の企業にとっては絵に描いた餅です。
日本がジョブ型雇用になるには相当な時間がかかるでしょう。

一番の大きな理由は、そもそもジョブ型雇用ができる土壌がないからです。具体的に言えば、ジョブ型雇用には、仕事の領域の明確化が必須です。仕事の領域の明確化には、個人のスキルの明確化、責任の明確化が必須です。

日本の企業のほとんどがそういう仕事の進め方をしていません。いろいろな不祥事をみれば明確ですが、責任の所在が良く分からないことが多いです。つまり、赤信号みんなで渡れば怖くない式で仕事が流れているからです。

まず会社の仕事をそういう進め方にする必要がありますが、そのためには社員の仕事の範囲を明確にする必要があります。しかし、そこが日本の場合非常に曖昧です。なぜなら、みんなで同じように仕事をしているからです。そのために、「Aくんが何をどのレベルで出来るのか」ということが非常に曖昧です。それはAくん自身が、自分がどこまで出来ているのかが分かっていないからです。さらに上司も仕事の見極めが実は非常に甘いことに気がついていない人が多い。要するにひとりひとりが「自分は何をするべき人か」が分かっていない、分かることが出来ない、そんな状況で仕事をしています。

そういうことがつながって、非常に曖昧な状態で仕事が流れ、なんとなく出来ているような気がしているのが日本の現状ではないでしょうか。
企業の中でも専門性が高い分野、研究や技術者分野は、文字通り会得する専門性というものがあるため、専門性の高い人が育っています。
いわゆるジェネラル職種と言われる分野は、結局曖昧な状況で、言って見れば素人集団で適当に仕事を流している状態です。

その結果、GAFAとは、比べるもないくらい引き離され、世界からも遅れ、生産性が低いと言われ、実際様々な分野で後進国となっています。
唯一、まだ日本の優位性が見られるのは職人の世界、アートの世界です。いずれも極めて専門性が高い分野です。

これらの責任は、もちろんトップである経営者にあるのですが、大手や中堅企業の場合、経営者もそんな日本の組織の中で育ってきたので曖昧な状態でトップになっています。
だから、不祥事を起こしたり、おかしな釈明をしたり、良く分からない釈明をしたりします。
だから、そういう企業に本当の意味でのジョブ型雇用ができるはずはありません。

創業社長が築いてきた企業は、まだ可能性があります。ほとんどの創業社長は創業時の苦しみを知っていますし、その中での「何をするべきか」を自問自答しながら来ています。徐々に増えていった社員も「何が足りない」という風に増えていったので、ひとりひとりが何をする人かが決まっています。経営者自身にそういう意識があるからです。

しかし、そんな企業も大きくなると、組織の下の方では曖昧になっていきます。
仮に「ジョブ型雇用」を本当に理解している経営者であれば、戦略的に段階を経て行けば不可能ではないでしょう。しかし、それには、多大な犠牲が伴うでしょう。その覚悟が出来る企業は極めて少ないと思います。

 

Follow me!