インターネットがもたらしたもの。

何をいまさらという気はしますが、インターネットがもたらしたものの現象は認知されていても、その本質は認識されていないことが多いように思います。

ネット普及による最も重要なのは「簡単に共有できること」です。
共有というのは、要するに全世界の人がその情報にアクセスできるということです。

暮らしに身近な部分で考えると、以前は専門家や専門会社、あるいは職人さんに頼まなければできなかったことのある部分が自分で出来るようになったことです。
要するに「素人がプロの仕事の一部分をこなせるようになった」ということで、それはすなわちプロの仕事の一部の需要がなくなるということであり、逆にそこで使われる材料や道具の市場が広がるということでもあります。

プロの仕事の中には、①知っているからできる事、②道具を持って(使い方を知って)いるからできること、③熟練したからできること。の3つがあります。このうち前の2つ①②は、インターネットで調べれば素人でもできてしまうことが多い分野です。3つ目③は「習得」が必要なので、一朝一夕にはできません。
逆に言えば、3つ目以外は、その気になれば素人でもできる事が多いと言うことです。

例えば、家の壁紙を貼るという作業は、まず①壁紙をどこで買えば良いのか、どんな壁紙があるのか、②何を使ってどうやって貼れば良いのか、③美しく貼るにはどうやれば良いのか。という作業です。

ご存じの通り①②は、ネットを調べれば分かるし家まで配達してくれます。③はすぐには出来ませんが、器用な人ならできてしまうでしょう。

プロの頼むメリットは、早くキレイに確実にできることです。

こういったことがいろいろな分野で起こっていると言うことです。
③の習得が必要な事以外は、どんどん素人でも出来るようになりました。

かつては、①②のことも、一般には手がかりすらありませんでした。プロになる人は、専門会社に就職し、修行を経て技術を習得し、業界の情報を得てプロとしての仕事が成り立っていました。その頃は、業界に身を置かないと①②のことも分からなかったからです。

ホリエモンが、寿司店の数年にわたる修行には意味がない的な発言をして炎上していましたが、ホリエモンが言うのはこういうことです。

かつては、寿司屋に就職しなければ寿司の握り方や仕入れなどのことが分からなかったのですが、今は専門学校もでき、ネットもあるので、勘のいい人なら、かつては10年で会得していたノウハウを数ヶ月で身につけることは可能であると思います。

こういった、ネットの功績の本質を理解していないと、現象だけに振り回されますし、状況判断を誤ります。多くの業界で、プロの仕事の一部が失われつつあると言うことです。

さらにそれが何をもたらすかと言えば、専門家には、本当にその道に向いた人しかなれなくなると言うことだと思います。
今までは、①②を知っているだけでも専門家として仕事が出来ましたが、今後は③を一定のレベルで達成していないと専門家としては成り立たないということではないでしょうか。

単純作業がロボットに置き換わるように、知ればできることは素人がやるようになります。もちろん知ればできるけど面倒だから専門家に頼むという需要も多いとは思いますが、その分野の単価というのは下がるのではないでしょうか。今まで専門家ならではの作業だったことも、単に代行にすぎなくなるからです。

そのように、一見同じように見えても、その位置づけや重要度、需要などが大きく変わっていくということです。世の中のことは、目に見えないことほど重要だと言いますが、こういう目に見えない変化が、常に意味性を考えていなければ気付きません。

インターネットやデジタルので世界は、まだまだ物事の特性や有り様を変えていくと思います。