「砂の器」について、重箱の隅をつつくような鉄道マニアのツッコミ(笑)

砂の器ほどの超名作映画で、なぜ事実考証のほころびが・・・?

「砂の器」といえば松本清張原作のミステリー。1974年に映画化され、ハンセン氏病を扱っていることからも話題になり数々の賞を獲得した名作です。丹波哲郎を始め、森田健作、加藤剛、島田陽子等々、有名な俳優が多数出演しています。松本清張といえば「点と線」など鉄道を舞台にした作品も多く、この映画でも今では見ることができない鉄道風景がでてきて、マニアとしても見どころがある映画なのです。しかし、その鉄道のシーンで事実考証の面で、おかしい箇所があり気になってモヤモヤしました(笑)

特急「まつかぜ」の違和感

主役の丹波哲郎が事件の鍵となる出雲地方へ調査に出かけるシーンで山陰本線の特急「まつかぜ」が登場します。丹波が途中駅のホームで新聞を買うシーンがあるのですが、ここに映っているのは「まつかぜ」ではない。というかこれは急行用の車両なのです。車体に「キハ28」(キハ58系のファミリー)と書いてあるし、窓やドアの仕様が特急用(キハ82)と異なります。しかしドア横の表示は「特急」になっています。つまり撮影用に急行車両を「特急」に仕立てて撮影したということだと思うのですが、鉄道マニアなら瞬間的に違和感を覚えるくらい良く分かる間違いなのです。特にキハ82系は鉄道マニアの中でも人気の高い車両であり、この違和感は非常に惜しい。ちなみにキハ58系も人気車両ではありますが(笑)

SLの違和感

そしてもう1ヶ所。容疑者が育った村である亀嵩駅でのシーン。向こうからSLが走ってくるのですが、そのSLがD51(デゴイチ)。しかし、亀嵩駅のある木次線は線路規格上D51が走ることはできないのです。木次線はC56が活躍した路線で、しかも鉄道マニアの間では大規模なスイッチバックのある路線として非常に有名な路線。木次線=C56というのは、王貞治の一本足打法くらい当たり前の組み合わせなのです。これも映画を見ていた鉄道マニアは一斉に違和感を覚えたでしょう。また、D51はトンネルを出て亀嵩駅に向かってくると言う設定なのですが、亀嵩駅の前後にはトンネルはありません。

どんな事情が・・・

不思議なのは、これほどの大映画の撮影でなぜこんな手抜きと言っても過言ではない演出をしたのかということです。丹波哲郎のスケジュールやギャラの関係なのでしょうか。急行用を特急に仕立てている位なので撮影用に用意された車両だと思いますが、なぜ特急用を用意してもらわなかったのか。
亀嵩駅のシーンも誰か1日残ってC56が来るのを待てば良い、もしくは国鉄に少し協力してもらって特別に走らせてもらうくらいできたのではないかと思います。ひなびたローカル線なのでダイヤはスカスカですしね。

このシーンで登場するD51820は、調べたら長野や木曽福島を中心に中央西線で稼働していた車両であり、どうやら1969年に廃車されたなので、撮影当時は存在していません。このシーンは中央西線のどこかであり、しかも借り物映像だということです。まあ、SLが近づいてくる映像を適当に探してか偶然あったものを入れたという感じではないかと思います。ビデオもない時代なので、映像素材は豊富ではなかったとは思いますが。

まあ、いずれも映画の本題にはまったく関係ない事ですが(^_^;)
とはいえ、現役時代の京浜東北線のスカイブルーの103系が走っていたり、横須賀カラーの113系(おそらく)が入っていたり、木次線のキハ52が映ったりと、鉄道マニアにはなかなか味わい深い映画なのでした。それだけに惜しい(笑)