印刷物

どれだけインターネットが発達しても、ペラペラとめくったり、あるいは表裏を簡単に見たり、見たいところをすぐに探せたりという印刷物の物理的な利便性は価値があります。
ここでいう印刷物とは、雑誌新聞などのメディアではなく、カタログやチラシなどのことです。大きく分けて、掲示系、配布系、送付系があります。
(※○○系の言い方はここで便宜上命名しているだけで一般的ではありません)

<基本的な流れ>
どのツールも目的があって制作されるものなので、目的、対象などを明確にし、盛り込む内容や優先順位などの扱いの大小、それに基づいて表現などを考えなければなりません。
重要なのが、ツールがどのように使われるかです。掲示物にしてもどこに掲示するのかによってつくりかたは大きく違って来ます。しかし、意外とそこが曖昧な場合は多いので注意が必要です。
ポスターをつくるという事が目的になってしまって、それをどこに掲示するのか、だれにどう見て欲しいのか何を伝えたいのかなどが、実はあやふやというケースは少なくありません。また、一般的にひとつの販促活動の中では、複数のツールが使用され、機能補完がされていますので、それらの連携にも留意する必要があります。

さらに、入稿データを制作する場合に必要な写真やロゴマーク、図表などの準備もポイントです。これらの管理については、きっちり行っている企業というのは実に少ないと言えます。同じようなロゴマークや商品の写真、必要な図などを毎回のようを探していただくことがあります。マークなどが粗い画像データしかなく、トレースするときもあります。自社の告知に必要なこれらのビジュアル材料がすぐに揃わないというのは不思議に思いますが、一元管理されていないため、常に流動的な状態にあるのだと思います。
毎回いちいち探さなければいけない担当者の手間と時間、複製する費用などがムダではないでしょうか。
その時間を検討や点検にあてればより精度の高いものにできるはずです。現代のIT状況からすると自社サーバーのどこかにまとめておいてすぐに利用できるようにしておけばすむ問題なのではないかと思います。

時には、一元管理されていて必要な材料がすっと出てくる場合もあり、そうなると制作作業もスムーズで、企業の担当者様の時間にも余裕が生まれますのでより精度の高いツール制作が可能になります。

1.掲示系
ポスター、吊り広告などがこれにあたります。掲示する場所によってサイズは異なります。大型ポスターなどで、チラシを拡大すれば良いだけと思われるときがありますが、必ずしもそうではありません。
手元で見るチラシと離れたところから、しかも移動しながら見るポスターでは、情報の受取方が異なりますので、本当は少し内容やレイアウトを変えなければいけないものです。
交通や施設内ポスターや吊り広告など、街中に掲示されるポスターは基本的には移動の最中に見られるものですから、重要な情報をあまり小さな文字で掲載していても読むことができません。また多くの場合、これら媒体の目的は興味づけやマインドシェアですので、あまり細かいことを掲載しても意味はありません。むしろ、興味づけなどに絞って制作する方が効果的です(交通広告では掲載要素が法的に規制されているものがありますので要注意)。
ただ、立ち止まってみることが多い場所、例えば商業施設や病院などの通路などでの掲示では、ある程度の情報を読んでくれますので、こういう場合に情報を省略してしまうと「知りたいのに書いていない!」というストレスが発生してしまいます。これらから、目的や場所、対象などをよく検討し、それに基づいて制作することが重要だと言えます。
今なら、スマホ等で撮影してあとで読むなども出来ますので、そういうことも頭の隅に置いておく必要があります。また、QRコードを掲載しネットへ誘導するというのも定石になっています。

2.配布系
チラシやパンフレットなど配布するための印刷物です。この中でも、チラシなど告知を目的としたものとカタログなど説明を目的としたものでは内容の作り方は異なりますが、両方とも掲示系と違って手元に残りますので、興味がわけば読んでくれます。

●チラシ(最近ではフライヤーとも言います)
最初にどう使われるのかを明確にすることが必要です。一般的には、手渡しやポスティング、店頭やカウンターに設置しておくなどがありますが、最近ではWEBやSNSだけで配布するようなチラシもあります。
重要なのは、読んだ人、それを買いたい人が、次にどう行動したら良いのかを明確にすることです。ネットを見れば良いのか、電話で問合せをすれば良いのか、あるいは現地へ行けば良いのか、それを明確にして、必要な情報を掲載し、「最も合理的に導いてあげるように」つくることが必要です。考えれば当たり前なのですが、意外とそのあたりが曖昧な場合があります。
地図を載せれば一目瞭然なのに、電話番号しか書いていなかったり、地図が分かりにくかったり、掲載されているURLがトップページのもので、該当商品にいきつくまでに苦労したり・・・・そう言う面倒が起こると興味を持った人も途中で気持ちが萎えてしまいます。行動できるまで最も楽に導いてあげるようにつくることは、とても重要なポイントです。

●パンフレットやカタログなど
冊子形態のものは、商品やサービスのものからPR目的のものなど、伝えるべき内容によってつくりかた考え方が大きく異なります。その目的によって構成も工夫しなければなりません。単に商品を並べているだけではせっかくの誌面や手間やコストの投資効率が悪くなります。内容は商品のサービスや企業の業態によって大きく異なりますが、ツールの位置づけを明解にしておかないと制作もスムーズに行きません。ツールの位置づけが明解になると、盛り込む内容が必然的に決まり、構成も決まってくるという風に何もかもがスムーズに流れます。

<商品写真について>
カタログに掲載する商品の写真が、予算がないという理由で社員様が撮られたデジカメ写真を使われる場合がありますが、多くの場合、光が上手く回っていなかったり角度が揃っていなかったり、背景が良くなかったりします。実に誌面がもったいないと思います。
商品の写真は、その商品を印象づけるものです。例えすでに認知されている商品でも、1枚の写真で良いイメージが損なわれる場合もあります。それは無意識のうちに影響を与えてしまいます。イメージなど関係ないような機械でも、商品の写真は会社のイメージにつながります。余った予算で写真を撮るではなく、最初から販促予算として写真の費用を計画し、プロに撮影依頼する方がよいです。ちゃんと光りがまわり、バランスよく撮影された商品写真は、無意識のうちに安心感を醸成します。

<ストックフォトなどの写真利用について>
イメージや何かの表現のためにストックフォトを利用する場合がありますが、意外と見落とされがちなのが、目的に合った写真を探す時間です。ストックフォト自体は安いものなら1000円台からありますが、目的に合った写真を探すにはかなりの時間を要する場合があります。 また、傾向として、良い写真ほど高額なので、少ない予算の中で良い写真を調達するのは、余計に時間がかかる傾向があります。制作側で写真を探す場合にはそれら人件費もかかってきますので、写真が安いからと言って単純計算できない場合があります。予算を考える際は、それらを考慮していただくようお願いいたします。必要な写真点数が多い場合は、カメラマンが新たに撮影した方が、結果的に同じ費用でも目的に合っていて早かったりします。

<編集について>
構成や商品コピーは、商品を正しく理解いただくためにはとても重要なことです。平たく言えば「話の順番と話し方」です。同じ話でも、話す順番や話し方によってはうまく伝わらなかったり、あるいは面白くなかったりします。
いわゆる書籍と違って企業の商品などの冊子(例えばカタログ)は、お客様が実際に見るときには、順不同で目的の商品や興味がわいたページからランダムに見るということも多いのですが、それでもこちらが伝えたいストーリーを持たせることは必要です。ランダムに見始めても、ストーリーに気がつけばそれを追い始めるという風になる傾向があります。人間は、論理的で合理的なことを無意識に求めるからです。冊子だけでなく販促やPRなどでもストーリー作りはとても重要です。

<デザイン>
デザインも内容によって様々にやり方が違って来ますが、大きく違うのはカタログなどの「商品を説明する」ためのものと、PR誌のような「読み物」の場合とでは、デザインやレイアウトの仕方が根本的に異なります。後者はエディトリアルデザインになってきますので、グリッドと言われるフォーマットを設定し、それに基づいてレイアウトしていくということが行われます。
また、チラシや広告のように、告知する、興味を引くためのデザインと読ませる説明するデザインや表現も異なります。前者は、そのためのインパクトやアイデアが重要であり、後者は分かりやすさ、見やすさなどが重要になります。
目的や機能を明確にしてかないとこれらの考え方が曖昧になり、効果を発揮しないツールになってしまいます。

3.送付系
いわゆるDMです。DMを送る対象は不特定多数ではなく何らかの条件で抽出された人です。ですから、内容はかなり絞り込んだものにできます。DMと言ってもハガキ、封筒、サイズなど、形態は様々です。これらは内容のボリュームとともに、狙う効果によっても違ってきます。
DMの構成やコピー、デザインは、ひとつひとつに配慮が必要です。まずは開封いただく工夫。よほどの絞り込んだ方へのDMでない限り開封が最初のハードルになります。デザインやコピーだけでなく、開封してもらうための仕掛け作りも重要です。
開封の次は、読み続けてもらえるかどうかです。開封してもらえるということは、興味と期待感を持ってもらったと言うことです。その興味と期待を裏切らないような内容を提供しなければなりません。 例えば3つ折りになった中身の表紙のコピーやデザインは、興味を進めるための重要な要素です。また、チラシと同様にそれを読んで興味を持ったり買いたくなったお客様がどのように行動したら良いかを明解に書いておかなければ意味がありません。
さらにシリーズにして数回送るDMならその全体の戦略やストーリーも必要です。また、きれいに印刷したDMがよいとは限りません。場合によっては、いかにも手作りといったイメージが良い場合もあります。
いずれにしても、送付先のお客様に開封いただき、商品購入へ向けて検討いただき、最終的には購入いただくということが目的ですので、DMだけで完結できるものではありません。DMをツールとしてどう位置づけるか、その前後はどういう体制で何をするかというマーケティングのシナリオが必要です。