1対1の人間関係はマーケティングの縮図。

マーケティングに限らず、社会の動きの構図は
1対1の人間関係に凝縮されます。
あるいは、1対1の関係が社会の構図に
拡大されると言うべきでしょうか。
それは、社会が1対1の人間関係の
組み合わせで成り立っているからではないでしょうか。
ですから、基本的な法則は1対1にあります。

例えば、告知をする行為は、
1対1でも同じです。

こちらの言いたいことをどのタイミングで
なんと言えば聞いてくれるか。
興味を持ってくれるか。
そのためには相手の現在の状況を
知っていないといけません。

相手の性格や状況に合わせて言い方を考えます。
伝える手段は何か。電話、メール、訪問???
相手と自分はどのくらい親しいかにもよります。
どれくらい信用されているだろうか。

もし話を聞いてくれたら、次にどうしてもらうかを
予め考えておかなければいけません。
また、失礼があってはいけません。
何かをしてもらえば、お礼をするでしょう。
また、お付き合いして欲しいと思うでしょう。

あるいは、相手がひどい人なら、
おつきあいはしたくないでしょう。
・・・・・などなど

これはすべて企業のコミュニケーションに当てはまりますね。

まずは、分かりやすさ。

何事も分かりやすいことは大事です。 販促でも商品でも、作り手や発信側は思いがたくさんあって、あれもこれも言いたくてどうしても情報がてんこ盛りになりがちです。 しかし、逆の立場になってみると、まったく知らないことについて、一方的にたくさん話をされても、あまり何にも憶えていません。
それより、興味をそそる一言だけ聞く方が憶えていますし、 場合によってはそれについて興味がわき、もっと話を聞きたくなります。
その興味をそそる一言こそがキャッチコピーです。 興味をそそるキャッチコピーと二言くらいで完結する分かりやすい話だと記憶しやすいのです。
チラシでも何でも、まずは逆の立場で何を言われると興味を持つか、あるいは印象に残るかと考えてみることが大切です。

シンプルは、簡単ではない

商品でも販促でも、キャッチフレーズならなおさら、シンプルであることはとても重要です。
分かりにくいのは、誰も興味を持ってくれません。

シンプルにするというのは、最も重要なことに絞って、それ以外を捨てると言うことです。これはとても難しいものです。

どうしてもあれもこれも盛り込みたくなります。しかし、それをすればするほど、お客さんには分かりにくくなっていきます。

こちらは、すでにその商品などを知っていますが、お客さんは何も知らないからです。何も知らない人にまず分かってもらうには、ひとつのことだけを言うことが重要です。

ひとつだけなら憶えてくれます。そしてそれが興味ある情報なら、もっと知りたいと思ってこっちに来てくれます。
ひとつの情報を残して、それ以外を捨てるのは至難のワザです。しかし、それをした商品や企業が大ヒットを生みます。

商品の差別化はどれだけ必要か。

業態にもよりますが、売っている商品の差別化というのはさほど重要ではなかったりします。
特に飲食店やサービス業などは、一般的に美味しさやサービスの中身は大きくは変わりません。
「客の9割は。味など適当で良いのだ」という人もいます。
それよりも清潔だとか、愛想が良いとか、心配りが良いとか、人的サービスのオペレーションがいかに快適であるかと言うことが重要です。そういうことによっても味が違うように感じたりもします。
普通のケーキ店なのに人気があるとか、そういうお店はお客さんへの気遣いや接客の印象がよいはずです。そういうお店は、口コミで広まります。
個性的な商品開発に注力するより、買った後にうれしくなる、そんなオペレーションを作る方が良いかも知れません。

人は、感情で買う。

人が何かを買う瞬間の判断というものは、そんなに簡単なものではありません。
その人の生活や人生、その長期短期的効用とリスクを頭と感情の中で複雑に、鋭敏に判断してお金を払います。そのような複雑な、しかも個人的事情に大きく影響されることを売る側が知ることはできません。
しかし、買う人は理屈と感情のどちらに影響されるかと言えば感情です。
人間は、感情で動く生き物です。 自分にとってさほど有益でないと頭の中で考えていても気に入ってしまうと買います。
逆に、有効であると分かっていてもどうも買う気にならない場合もあります。
だから、お客さんには有益であるというよりも気に入ってもらうことの方が有効なのです。

感動で動き、理屈で納得する。

商品によっても違うでしょうが、人が商品を買うには2つのどちらかのきっかけがあります。 感動して買うのか、納得して買うのかです。 ものによれば、感動してから冷静になって納得して(させて)買うということもあります。
納得によって感動が生まれる場合もあります。 いずれにしても、納得は冷静でその場だけのものであり、あまり憶えていませんが、 感動は、心に刻まれます。 感動すると満足度が高いです。 感動すると、ニーズがないのに買ってしまいます。 感動すると、少々納得いかなくても買ってしまいます。 感動すると人に言いたくなります。
逆に納得しても、感動がなければ満足度は低いです。 ということは、次回は買ってもらえないかも知れません。 商品を売るには、感動を生み出すのが一番強力だと言うことですね。
人は、大きな買い物ほどいい加減に決めると言います。 この「いい加減」は、精査せずにということの象徴的言い換えだと思いますが、 もっと言い換えると「何となく決める」という事だと思います。
日々の食品などの価格には10円単位にシビアなのに、不動産などは「なんとなく」で決めてしまったりします。 これは言い換えると、日々の商品は「納得」で買い、 不動産は「感情」で買うとも言えます。
大きな買い物ほど、自分の人生に与える影響も多く、関係する事象も複雑で有形無形を合わせると結局のところ損得を計算することができないといえます。 食品は、逆です。損得が把握できる範囲です。 こういうことを人間は無意識に判断しているのだと思います。 つまり、大きな買い物ほど感情に訴えなければいけないし、日々の買い物は、理屈(納得の素)で訴えなければいけないという傾向があるということです。

「囲い込み」について。

囲い込みということをよく言われます。 ポイントカードで囲い込む、会員制度で囲い込む・・・ しかし、お客さんは、不用意に囲い込まれたくありません。 本当の意味の囲い込みはファン化であって、 システムでムリに縛ることではありませんよね。 システム(あるいは仕組み)で囲い込むと お客さんは、囲い込まれて「仕方なく」買い物をします。
例えば、今欲しいモノがそこのB店があるけど ポイントがたまっているから、ちょっと遠いけどA店で買おうと思ったり。 A店にすればしてやったり、思い通りです。
しかし、お客さんは「本当はB店が便利だったのに、 ポイントがたまっているからA店までいって手間がかかった」と無意識に思っています。 同時に「ポイントさえたまっていなければ、素直にB店で買ったのに」とも思います。 これが回数を重ねてくると息苦しくなってきます(無意識にです)。
A店が魅力的なお店で、ポイント関係なく出向くのが楽しい存在なら良いですが、 概ねポイントだけの話なら、お客さんは、知らない間にA店へ嫌気を持つようになります。 何かのきっかけでポイントから解放されたら、 もうA店へはほとんど行かなくなるでしょう。 仕組みによる囲い込みには、こういうマイナス面もあるとおもいます。
「囲い込み」のシステムは、あくまでお客様「サービス」として、 「囲い込み」ではなく「お礼」というコンセプトで行われるべきです。 大事なのは、魅力作りによるファン化、精神的な「囲い込み」です。ポイントで縛るようなやりかたはいずれ効力を失います。
お客さんが自らお店に帰属してくれるような魅力があれば、 システムなどなくても「囲い込み」ができるし、ポイントが貯まれば「お礼」としてお客さんにはより大きな価値となって付与されるはずです。
要は、お店(サービス)の魅力なくしては、ポイントも効力を発揮しないということですね。

意識のずれ。

販促などで情報を発信する場合に留意しなければいけないのは、 意識性でどの層に向かって発信するかです。
一般的に97%の人は物事を深く考えないという通説があります。 日常生活で、いちいち深く考えないという感じだと思いますが、 深く考えないと言うことは、あまり意識していないと言うことでもあります。
一般的な商品については、企業側の思いより消費者の意識は概ね薄いと言うことです。忘れているとも言えます。
そういうことを前提にして販促を考えないと、心にひっかりません。 例えば、
オール電化がもてはやされた頃、 光熱費の削減を売りに拡販されていました。 ガス会社では、そこをポイントに巻き返そうと 活動をしていました。 しかし、調べてみると、ユーザーが光熱費を理由にオール電化を採用したのは10%ほどだったのです。
一番大きな理由は、「友人のすすめ」でした。 いろいろ話を聞いていると、 問われれば光熱費が減ると良いと答えますが、 実際それがどのくらいかといえば、家計に占める割合は 大きくなく、多くの人が、普段節約は心がけているが大きくは気にしていないということが分かりました。 また、自宅のエネルギーが何でどうなるかと言うこともあまり詳しく考えていないのです。
だから、友人のすすめが大きな力を持ちます。 「友人のすすめ」がなぜ力を持つかということには、 人間の自己防衛本能が働いています。 大きな金額を投資してオール電化を導入した「友人」は、 満足してもしなくても肯定しようとします。
大枚はたいて導入したからには良いもの出ないと困ります。 否定したくないのです。 その一環が友人へのすすめです。 当然、素晴らしいと吹聴します。 それは、良いものであるはずだという 自己暗示でもあります。 その結果、普段あまり特別に意識していない「友人の友人」は、 洗脳されてしまいます。 友人になぜ洗脳されてしまうかというのは、 結局、そのことについて見識を持っていない、 普段からあまり深くは考えていないと言うことです。 それでも問題ないからです。 成熟社会の一端が垣間見られます。
多くの商品に大きな差はなく、どれを買ってもさほど大きく生活が変わるわけでもない。 情報もたくさんあり、たくさんあるということは、 同時に全部見られていられないということでもあります。 そんな暇はないからです。
こういう風に多くの物事が、ある意味適当に流れていきます。それでも問題なく快適だからです。 このあたりが提供する企業側とずれる原因です。
家電メーカーなどで、年間電気代がどれだけ節約できうるとか水が節約できるとかを訴求しますが、 多くは、年間の家計で見ると大した数値ではありません。 そのために新製品を買う投資額を考えると そっちの方がよほど大きいのですから。 数値で訴求するほとんどがそのようなものです。
数値ではなく、もっと違う訴求を考えるべきだと言えます。 あるいは別の訴求ができる商品を作るべきだと言えます。 分かりやすい例では、アップルのiPodです。 数値ではなく楽しさを訴求しました。
当時、競合他社、とりわけ日本のメーカーは相変わらず世界最小とか音質が良いとか 数値的な訴求をしていました。
しかし、サイズが2ミリ小さくなることがメーカーにとっては凄いことでもユーザーにとっては、大したことではないのです。 それによって生み出されるメリットなどほとんどないのです。
それより、ウキウキワクワクすることが アップル製品にはあったのです。
なぜこのようなズレが起こってくるのでしょうか。 簡単に言えば、お客さんの気持ちを分かってないと言うことになるのですが、それはなぜでしょうか。 組織の問題、開発者の意識の問題など、 細かい点はあるでしょうが、根本的には、 経営者がお客さんのことを考えていないからではないでしょうか。
経営者の目的が「経営をすること」に なってしまっているのではないかと思います。 経営者は企業経営を通してお客さんに何かを提供するのが目的のはずです。 この肝心の目的が、希薄もしくは 空白になっているのではないかと思います。 そうでなければ、記者会見で自社の大事な商品を 逆さまに持って記者に説明したりはしないはずです。 特に大手企業の経営者は創業者ではありません。 代が変わる毎にどんどん創業者のマインドが 薄くなっていくのだと思います。
目的が希薄になった企業では、社員も当然希薄です。 従って商品も希薄になってきます。 商品には目的がないので訴求することがありません。 だから仕方なく、小さいとか大きいとか、少ないとか多いとか、 目先の細かいことばかりになります。 そんな商品が、お客さんに気に入られるはずがありません。そういう商品や企業の問題は、 実は社員がどんなに努力をしてもたかが知れているのです。 一時的や部分的には改善されますが、またズレは出てきます。 経営者が目的を明確にして、抜本的な改革をしない限り、 ズレはなくなりません。
これは大手だけに限ったことではなく、中小企業でも同じです。 個人でも同じです。 物事の法則です。
目的や考え、意思を明確にすると言うことが どれだけ大事であるかということですね。