定石かバクチか。

バルミューダという、2万円するトースターで有名になった家電メーカーを作った人の話。というか自伝を読みました。

両親の離婚や母の死を経て、高校を中退した半分不良男が、ミュージシャンになって挫折もし、その後にバルミューダを設立するというドラマチックな話でもちろん実話。

「強い意志と情熱さえあれば、ノウハウや環境は後からついてくる」という見本のような話で、面白いし感心します。

とても文章が上手く、生い立ちの話から引き込まれるし絵が浮かびます。バルミューダの会社としての存在の仕方というかマインドが、バンド的な考えというのがミュージシャンらしいし共感します。デザインや製品が彼そのものだというのが良く分かるし、タイトルもミュージシャンらしいなあと思います。

マーケティングリサーチをしてモノを作るというのが定石である中、その対極にあるようなモノづくり。
「定石」というのは結局ボリュームゾーンだということであり、フォロワーなのです。頭ひとつ出ようとすれば、よほどの資本力がない限り定石では難しい。
資本力のあるアップルでさえ定石ではない。というより、定石を打たず革新を起こしてきたからアップルがあるというべきでしょう。定石ではないのだから、レアケースであるとも言えます。しかし、やっている本人たちは、強い意思と情熱、確信や良い意味での勘違いなどに見舞われて、定石であるとかレアであるとか考えていないはずだ。熱にうなされたようにやっていたはずです。
ある面バクチであり、だからこそ対極に定石が存在する。面白いのはどちらかといえば、そりゃ、バクチの方です。リスクがあるけど面白い。
無難だけど面白くないのが定石。しかし、定石をやっていても売れないという時代でもあります。定石にほどよくバクチ要素を加えたくらいが良いのかも知れませんが、そういうのは、どこか嘘くさく見えるのかも知れません。