日本の企業が世界に勝てない3つの視点。

最近起こる企業や団体など、特に大きな組織であきれるような不祥事が頻発するのを見ていて不思議に思ってもやもやしていたことが、3冊の本でいくぶん晴れました。

ひとつめは「世界のエリートはなぜ『美意識』を鍛えるのか」山口周著。
組織は、良くも悪くもそのトップの考えで動きます。GAFAと言われているアメリカのトップ企業の経営者と日本のトップ企業の経営者と、言っていることがあまりにも違いすぎます。考えている次元が違うというか、つまり経営ということの捉え方が違うのだろうと思います。
それによって、企業の文化や発想もモラルも違ってくると言うことですね。著者は、MBAがもてはやされた時代は終わったといいます。その理由はとても納得のいく話で、商品がコモディティ化している大きな原因でもあります。ひとことで言えば、理屈で勝負する時代は終わった、センスの時代だということです。いかにも日本の老舗企業が苦手そうなコンセプトです。実際そうです。
社員にいくら優秀な人がいても、経営者にそれを見極める目がないと意味がありません。やがてその優秀な人は、やりがいを求めて社外へでてしまうでしょう。

そういうことが書いてあるのが同じく山口周著の「劣化するオッサン社会の処方箋」。日本の企業の組織構造の法則がかいてあります。これを読むとなるほどと思うのがいわゆる大企業病というやつです。それはまさしく、この「二流、三流の人間が組織を牛耳るようになる」という法則の生み出す病であり、一連の不祥事も背景が鮮明に見えてきます。そして、先の「美意識」がいかに大事かと言うこともわかります。
そして、その企業を牛耳っている人には「美意識」は分からないのだろうということも想像できます。

なぜそんな法則ができてしまっているのかという答えが「なぜ日本企業は勝てなくなったのか」太田肇著。どんずばのタイトルですが、「分化」という視点で日本の組織の特性を解剖解析しています。これは、集団を大切にする(個を犠牲にしてまでも)日本独特の国民性というか組織文化に起因する体質を指摘している内容ですが、とても的を得ていると思います。まさに企業内のもやもやした空気は、この分化されていないことから起こります。ここを変えないと企業の生産性の向上や創造性の高い文化は望めないことが良く分かります。

この3冊に日本の企業が勝てない本質が集約されていると思います。それからすると、日本のいわゆる老舗の大企業が欧米の新興企業、ましてやGAFAに勝つなどと言うことは根本的に無理だということが分かります。へたするとそれら企業は、次の時代滅びてしまうのではないかと思えるほどです。経営者が、新しい発想の人に変われば可能性はあるでしょうが、そういう人を経営者にできる分化もないし、おそらくなってもすぐに引きずり下ろされるでしょう。それをみて、社内の優秀な人は、どんどん社外にでてしまいます。

期待できるのは、日本の新しい企業です。やはり新しい企業の経営者が言っていることは、老舗企業とは根本的に違うことが多い。
「劣化するオッサン社会の処方箋」から推測するとやはりそういう企業を興す人は一流の人でしょう。
アメリカでもとっくの昔に老舗企業は衰退し、GAFAと言われている企業はすべて新興企業です。しかもすべてIT企業。日本でまだ重厚長大の老舗企業がトップにいること自体が日本の体質改善できていない現れなのでしょう。これが入れ替わらない限り、日本がまた世界に勝てる日は来ないのではないかと思う今日この頃です。

ただ、老舗企業の中でトヨタの現社長は、いままでの経営者とは違う体質のような気がします。老舗企業の中で、トヨタだけが世界で生き残れるのではないでしょうか。