商品企画の考え方。

商品企画といっても分野によってやりかたはさまざまです。
主に原則は、困ったこと不便なことがあって商品が生まれるワケですが、
嗜好品となるとそうではありません。

嗜好品は、商品の素になる何かの嗜好があり、それを欲しい思う気持ちから生まれます。厳密に言えばそれもニーズではありますが、困ったこと不便なことではありませんので、良く言われるシーズというものです。
必要だという受け身ではなく、積極的に欲するということです。

人間というのは常に何らか不便で困っている、
つまり欲があるので、商品企画の素になるネタが
切れることはないはずですが、なかなか気がつかないものです。

商品とマーケットの関係には、大きく分けて2つあります。
商品ありきで考えるプロダクトアウトと
マーケットありきで考えるマーケットインという考え方です。

しかし、前者にしてもマーケットのない商品をありきで考えると言うことは意味がないので、大きい意味でマーケットインではあります。持っている技術や資産からマーケットのあるものを考えるという提供側からの視点です。

新しい技術や素材などがあり、それで商品を作っていくということが、プロダクトアウト的ではありますが、最終商品を企画するには、マーケットがなければ売れません。

マーケットにまだまだ伸びしろがあった時代は、新しい商品があれば何らか売れたということが成立しましたが、現代は厳しくなっています。

新しい商品が、マーケットを開拓していくということは起こりますが、
それは潜在していたマーケットを掘り起こしたということで、ニーズは隠れていたということです。

モノが行き渡った消費成熟時代といわれる現代では、見に見える新しいマーケットはほとんどなく、新しいマーケットは隠れていると言えます。
隠れたマーケットを探し出して、そこへ向けて商品を考えるということが
現代の商品開発(事業開発)の主流であると言えます。

マーケットから逆算する発想ですね。
逆に言えば、そういうマーケットでなければ(つまり顕在化しているマーケットには)すでに先行商品があって競合が激しいとも言えます。
それは、そのマーケットの成熟状況にもよります。

商品企画の一番のポイントは、買った人にどんなメリットがあるかということです。これがお客さんの満足度にもつながります。そこをしっかりとらえて商品を作ると、販促の際の売り文句(訴求ポイント)も明確になります。
当たり前のことのようですが、このポイントが曖昧な商品は多いものです。

一度自社の商品ひとつひとつについて、買った人にどんなメリットが生まれるかを
点検してみてはどうでしょうか。

売れた商品(自社他社とわず)に追随するように商品が企画される場合、それとの棲み分けや差別化などばかりに目が行き、本来のお客さんのメリットが曖昧になる傾向があるように思います。

どんな場合も、お客さんにメリットがあってこそ、
初めて商品に値打ちが生まれます。それにお金を払ってくれるわけです。
売れない商品は、そこが崩れているのではないでしょうか。

<商品企画の手法>
この3つの視点は系統立っているわけではありません。
組み合わせんよって企画の枠組みになります。
(1)マイナスからの脱出
(2)感性商品
(3)TPOで考える

(1)マイナスからの脱出

困っていること(不便も含まれますね)を解決するという一番喜ばれる視点です。
人間は、現状からのプラス獲得より、マイナスからの脱出をより強く求めます。
当たり前の話です。プラスは、なくて元々。マイナスはゼロより後退しています。
人が困っていることを見つけ、それを簡単に解決する
という考え方が一番普遍性が高く、売りやすい商品になります。
反面、商品が世に出た瞬間、分かりやすいため、
よほどの技術や見えないノウハウがない限り
マネされて追随される可能性も高くなります。

いかに参入障壁を高くするかがポイントになって来ます。
それは、独自の技術だとか、売り方の仕組み等です。
こういうことは、秘密裏に進めなくてはいけません。

最近、SNSなどで事業の進行について、逐一アップする人などがいますが、
あれは、相手に手の内を見てまくっているようなものです。
PRと思っているのでしょうが、それより競合を増やす方に貢献します。
SNSにアップしている中からは強い商品は生まれないと言えるでしょう。
PRのためにアップするのは、もう手の内を見られても追随できないくらい、
体制ができてからです。
その際に戦略が必要なのはいうまでもありません。

話がそれましたが、「困っていることを解決する」は商品企画の王道です。

(2)感性商品

(1)に対して、分かりにくいのがこの分野です。
マーケットが成熟したカテゴリーが舞台になります。
端的な分野は、ファッション商品です。
アイテムそのものより、色やデザイン、テイストといった本来付加価値であるものが、主たる価値になって来ます。
それは、本来の商品機能が同質化する(コモディティ化するともいわれます)ためです。現代の商品は、ほとんどがこういった性質を持っています。

これは商品のライフサイクルによっても登場します。
分かりやすい例としてiPhoneでいえば、最初iPhone5が発売されます。
この時は容量による2タイプだけでした。それが市場に浸透するにつれ、機能をバージョンアップした5Sが追加され、さらに5Cという価格帯とカラーバリエーションのある商品が追加されていきます。

これは、マーケットにiPhoneが行き渡り、本来の機能だけでは新しい購買意欲を生み出せないから、細かい嗜好を追加し、お客さんを多様化させることで、他社の競合を退け、自社製品をも買い換えさせるという方法で売り広げていきました。

これらのカラーバリエーションが出だしたあたりからは、感性商品としての価値になっています。もともとデザインでも高い評価のiPhoneですが、
その魅力の柱は機能性やアイテムとしての斬新さです。
しかし、マーケットに商品が浸透するにつれ、それだけでは売れなくなっていきます。そこで、感性に訴えて売っていくわけです。

一般的に多様化時代を迎えた頃から、「感性消費」と言われるデザインやテイストに価値を置く消費のボリュームが増えています。現在でも、同じアイテムでも自分に合ったデザインやテイストを選ぶという買い方が、若い女性を中心に行われています。

こういった商品を企画するポイントは、デザインやテイスト(厳密に言えばすべてテイスト)について、世間にどのようなグループが存在するのかを精度高く整理して、それを元に考えていかなければなりません。

また、テイストのグループを体系的に捉えていくことも必要です。
それは、マーケットにおいて自社製品の棲み分けや存在を際立たせる戦略を考える上で、他のテイストを把握しておくことが必要だからです。

難しいのは、その整理の仕方に法則がないことです。まさに感性という主観で整理しないといけないわけです。ですから、そういう事をよく理解しているスタッフがいなければ無理だと言えます。より精度高く、効率良く商品企画するには、
これらのプランニングを行うキーマンの感性次第と言えます。

(3)TPOで考える

Time(時間) Place(場所) Ocasion(場面)で考えていくというのはオーソドックスな手法ですが、普遍的なものです。人間の暮らしには、必ず時と場所と場面があるからです。
同じアイテムでも、それぞれにTPOの切り口で考えてみると、よりその切り口にマッチした仕様があったりします。

言ってみれば携帯電話も、家にあるものであった電話が持ち運べるようになって便利になったもので、電話をTPOで異なる仕様にしたと言えます。
もちろんこれには技術の進歩が不可欠ですが。
今なら、iPhoneのカバーを遊びや仕事などのOcasionに合わせて替えるということもあるでしょう。単なる保護カバーにTPOで別の価値を付加するという流れです。

TPOでは、すでにある商品だけではなく、新たなアイテムも生まれます。
TPOで困っていることがないかを探してみると、まだまだ手つかずのマーケットがあったりします。

上記の(1)と(2)は、ニーズの特性ですが、(3)は切り口です。
何も枠組みのない状態での「企画手法」としては、(3)を切り口にして(1)と(2)を考えるというやり方が効率が良いと思います。

しかし、実際の商品企画では、企業の既存商品のバリエーションであったり、
ある場面が設定されていたり、営業現場からの要望であったりと、
すでに何らかの枠組みがあると思いますので、その枠に必要に応じて
3つを当てはめていくと効率良くアイデアが見えてくるかもしてません。